蔵元の紹介 Brewery's data

田中屋酒造店

良い水を使い、良い米を使い、そして基本に忠実な良い造りをする。こうしてできたあたりまえに良い酒を、お客様にあたりまえに楽しんで頂きたいと考えております。必要な設備は取り入れますが、基本的に重要な部分は手造りにこだわっています。麹は全量箱麹による手造り、仕込み単位は均一な温度管理の可能な1500kgまでとしております

  • 代表者: 田中隆太
  • 本社所在地: 〒389-2253長野県飯山市大字飯山2227
  • 電話番号: 0269-62-2057
  • 創業: 明治初年創業
  • 公式HP

brewery profile 蔵元について・受賞歴など

蔵の環境 奥信濃の自然に恵まれて 長野県の北のはし、奥信濃 飯山 の旧町内に当蔵があります。冬は2mをこえる積雪のある豪雪地帯であり、酒造りは雪におおわれた蔵の中で行われます。造り水は20kmほどさらに北へ向かった水尾山の湧水を運搬し仕込の全量に使用しています。雪国飯山の趣向を良く知る地元の社員・蔵人によって、年間約500石を生産します。まさしく奥信濃の自然の恵みによって酒が造り出されます。 (写真:雪に覆われる蔵)
 
仕込水 奥信濃の自然に恵まれて 仕込水は全量 野沢温泉村「水尾山」のふもとより湧き出る天然水をトラックで運搬して使います。「水尾」という名には水の源という意味があると言います。その名の通り一年を通して豊富に湧き出る水は、飲んで甘さと透明感を感じるまさに銘水です。当蔵の製品はこの水ならではの特長を生かし、香り・味ともに良質で、しかも残らない後切れの良い味わいを実現しております。 (写真:ヤブタ)
 
杜氏・蔵人 地元 飯山杜氏と蔵人 酒造りは麹と酵母という生き物を相手にする仕事です。基本に忠実な酒造りを行なうには、造り期間中生活を共にした酒造りを行なわなければなりません。ゆえに、あたりまえの酒造りは、生活を共にできる人によって、作られるべきだと考えます。地元飯山杜氏と蔵から車で15分ほどの近くに住む社員・蔵人たちが協力して早朝・深夜の作業をこなし、酒を醸します。 (写真:地元蔵人)
 
原料米 良質な 長野県産米 原料米は長野県産の酒造好適米を基本的に100%使用し、さらにその70%が蔵から5km圏内で栽培されている契約米となっています。地域ならではの地酒という意味で、長野県の開発品種である「ひとごこち」・「しらかば錦」はもちろん、大吟醸等上位酒には全国的にも希少品種である地元木島平村産の「金紋錦」を使っています。地米を使った個性ある味わいの地酒を発信したいとおもっております。 (写真:59%美山錦出麹)
 
第一話  醸造用水について 水尾のこだわりについて語るには、やはりまず水について語らねばなりません。なにせ「水尾」の名前もその水の湧く山の名前だし、そもそも「水尾」のはじまりがそこにあるからです。 私(専務)が東京での研修を終え、蔵にはいってから最初に研究したのが水でした。それまで使っていた井戸水の水質が硬すぎるため、吟醸酒等の製造には不向きだと分かったからです。 そこでまず、水の加工を検討しました。これは最近では家庭でも使っている浄水器のようなものを使って水をろ過する方法です。半導体を洗うための水の製造装置を作っている某会社より専門家を呼んで加工の方法を試してみました。ところが、何度試しても水の加工はうまくいきません。水の加工は、一部の大きな成分だけを取り除くか、すべての成分を取り除いて純水を作るかの2つの方法しかなく、なかなか酒造りにベストな水質を作ることが出来ないからです。苦労しながら、何度も蔵に足を運んでくれたその専門家の一言が後に「水尾」を生み出す事になりました。 「しかし田中さん。どうして田中さんはこの山紫水明の地でこんなに水に苦労しなければならないのですかね。」 確かにそうです。少し山あいに行けば、様々な良水が湧き出るこの地方にいながら、水に苦労するというのはおかしな話です。蔵を移動する事は無理でも水を汲んでくる事は可能じゃないかと考えました。そこで社長に相談したところ「酒造りは道楽じゃない。そんな大量の水を運搬してもコストが合わない。」との厳しい一言。それでもやってみなきゃ分からない、吟醸酒だけでもやろうという事で説き伏せて水を探しに出かけました。 地元でも話題になっている清水や社長の持っている山の湧き水など思い当たる様々な水を汲み歩きテイスティングし、分析もかけました。おそらく運が良かったのでしょう。数ヶ月で結果が出ました。テイスティングテストでも分析結果でもダントツに一番の評価だったのが現在使用している「水尾山」の湧水です。飲んで甘さを感じるほどの軟水、酒造りに無駄な成分はまったくなく、そして必要最小限の発酵に必要な成分を含む、まさに未来の酒を造るにふさわしい名水に、私はすっかりほれ込んでしまいました。水源を持つ地元の方々にもこころよく承諾をいただき水を分けていただける事となりました。 その年は吟醸酒、純米酒のみこの水で造りましたが結果がとても良好で、水汲み作業も何とかこなせる事が分かったため翌年より仕込みの全量にこの水を使用するようになりました。今でも年間にのべ80日くらい、片道20km北の水尾山のふもとまで行って、水汲みを行っており、すっかり道楽じみておりますが、酒の評判が上々のため、社長も文句言いません。 水尾のさわりない後味の良さはこの水の性質によるところが大きいと思います。しかしながらそれだけでは大リーグボール2号の秘密は半分しか分かりません。(わかるかな~) 水尾の味わいにはまだ、さらなるこだわりが隠れています。  (第2話へつづく )
 
 
第二話  原料処理 料理でもなんでもそうですが、基本の処理というのはとっても大事です。水尾の造りの考え方は、常に基本に戻れです。原料処理に関してもどうやったら基本に(というか原理に)忠実にできるのかと言うことを考えています。 大吟醸のお酒というのは、どのお蔵もみなさん力をいれます。これは「全国酒類鑑評会」というコンクールに出すための酒を造るからです。この時は、たいへんシビアに基本に忠実に酒を造ります。たとえば原料処理においても10kgずつアミ袋やザルで手洗いし、米が吸った水分量を0.1%刻みで計算して管理します。米を水につける時間などは、ストップウォッチで計り均一な水分管理を行ないます。 しかし、上の方法ですと、一般のお酒になるとなかなかそこまでできないのが今までの現状でした。大量の処理を前提とした流れ処理式ですので、水分量を計算するかわりに目で見たり、手でつぶしたりして判断している事が多く、均一な水分管理は、たいへん難しい作業でした。 水尾では、大吟醸で行なわれる事が、基本だという風に考え、そして、普通の人か、一般に飲むお酒こそ、最高の技術が払われるべきだと考えました。 この結果考えた仕掛けが、お米を120kgずつ、チェーンブロックとつり袋を使って、米の処理を行なう方法です。考えは、大男が大きなザルを使って120Kgのお米を大きなボウルの中で一気に洗うという感じです。ザルで10kgずつお米を洗うのと同じ感覚を大きくしたもです。計量のため300Kgまで計れるデジタルのつり計りを一台買いました。仕掛けは単純なのですが、実行するのがたいへんで、米の処理を行なうのに、以前の方法の約1.5倍くらい時間がかかります。蔵の造りの単位が1500kg仕込みの小さい単位なのでできましたが、もう少し大きかったら1日で米洗いができなくなってしまうところでした。 お米の処理の担当となる釜屋の鈴木さんは、毎日、首からストップウォッチを下げて、米の品種ごと、用途ごと、精米ごとに、きめ細やかな水分管理を行なってくれています。大吟醸と同じ0.1%刻みの水分管理が一般のお酒についても行なう事ができるようになったという事です。 この水分管理の結果、安定した酒質と年々向上してゆける技術の積み重ねを手に入れることができ、お客様の期待を裏切らない水尾に一歩近づくことができたのです。 水尾のバランスの良い味わいはこういった地味なこだわりの作業の積み重ねからできています。まだまだこだわりのお話はたくさんありますが今回はここまでです。次回もこうご期待! (第3話へつづく )  
第三話  麹 「一麹二もと三造り」と酒造りの世界では昔から、良い酒を造るのに大事な順番として言われています。「麹」はその、第一番目に来る要素。各蔵の酒の個性がこれによって決まってくるといわれるほと、重要な部分です。 朝8:30に蒸し上がった米を麹をつくる麹室(こうじむろ)という部屋に入れ、夜は10:00、朝は6:30かkら、寝食をともにして、48時間麹造りは行なわれます。造りのシーズンは、この作業を繰り返し毎日行ないます。現在では、大きなお蔵では、自動化された麹製造機を使ったりしますが、やはり大事な吟醸酒クラスとなると、昔ながらの木蓋や木箱を使った手造りの麹造りが行なわれます。どうやら、科学や機械の力ではどうしようもない部分が、酒にはあるようです。 「水尾」は、全商品が木箱による手造り麹。先ほども申し上げましたとおり、朝から夜まで生活を共にした、麹とのつきあいをやらないと手造りの麹造りは出来ません。大変ですが、酒の第一要素は、普通酒にいたるまで大事に行なうというのが「水尾」の方針です。又、麹米は、さらに高精白な吟醸以外は、普通酒にいたるまですべて美山錦の59%精米のものを使っています。少々贅沢な気もしますが、一般の方がのむ普通の酒にこそ最大の技術が払われるべきだという思いが、そこにはあります。 造りの時期は、朝6:30になると、栗香の高い、純白な麹がコンスタントに造り出されていきます。これは、決して機械にたよることなく、人が手をかけて忍耐強く造りだしたゆえのものであり、その思いが「水尾」の味に込められているのだと考えています。

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