先週取り上げました日本酒のコンテストに続きまして、今回は審査項目を見てみようと思います。コンテストごとに審査の仕方は異なりますが、一つの基準になればということで、まずは全国新酒鑑評会について、もう少し詳しく見てみましょう。

今回は、酒類総合研究所のHPにて公開されている、新酒鑑評会の審査カードや、2年度前の分析結果について勉強してみます。

まずこちら、新酒鑑評会審査カード(予審)になります。

香り品質、華やか

読んで字のごとくですね。

吟醸香/芳香

果実様の芳香は好んで日本酒を飲む人には覚えがあるのではないでしょうか。フルーティな香りを訴えるお酒は多いですが、そのフルーティさを大きく分けると、バナナみたいな系統と、リンゴみたいな系統があります。どちらか一方の香りのみが生成されるわけではないのですが、多く生成された香りや、他の香り成分の影響で、表に現れる香り、隠れる香りがあります。

酢酸エチル、高級アルコールについてはわかりにくいですが、酢酸エチルによる吟醸香が強すぎると、接着剤のような除光液のような鼻を衝く匂いになり、減点項目になります。

高級アルコールによる吟醸香は、エタノールなどと同じアルコールの香りの系統ですが、強い匂いになり、重辛く感じるようになると、こちらも減点項目になります。いずれも悪い香りではないのですが、強いと減点になってしまいます。

木香様/香辛料様

これらは劣化臭と呼ばれることもあり、減点項目になります。

アセトアルデヒドは木のような匂い、イソバレルアルデヒドは甘酸っぱいような焦げた匂い、香辛料様4VG(4ビニルグアイアコール)は煙のような、薬品のような匂いだそうです。

麹 甘・焦げ

香ばしい穀類のような香りがカビのように、甘垂れるように、焦げたように匂う減点項目です。

移り香

酒造りの設備から移ってしまった減点項目。

脂肪様/酸臭

悪くなったチーズ、バターのような悪臭、酸っぱすぎる匂いを指します。

以上が香りの項目になります。こうしてみると、全国新酒鑑評会が、俗に減点方式の審査と呼ばれる由来がよくわかるのではないでしょうか。減点項目は「指摘」とも呼ばれ、改善点を明らかにすることが目的のため、このように厳しいチェック項目が設けられているのでしょう。

続きまして味に関する評価です。

こちらはわかりやすいですね。味の特徴/強く感じる不調和によく表れていますが、日本酒は風味のバランスが取れたときに好ましく、過剰であるのはよろしくないとされています。

私の個人的な感覚ですのでアヤシイ意見になりますが、市販され、好評を得ているお酒のなかには、過剰ではないかと思われる特徴をもったお酒が増えているように感じます。蔵元、酒屋とお話ししていても、狙って新しい客層を拓こうとしているものや、ちょっと失敗しちゃったかなと思っているけれども案外好評だった、なんてお酒もあります。

造り手にとっては、技術評価はないがしろにできないものかもしれませんが、日本酒を楽しむ際に大切なのは、飲む人の好みであったり、感性であったりだと思いますので、私たちは「正解」を意識しない方が、豊かな日本酒ライフをエンジョイできると言えそうです。

最後に、結審の審査カードです。こちらはもう予審を終えているので、とてもシンプルです。

当初予定よりも細かくなってしまいましたので、分析結果に関しては次回以降に勉強していこうと思います。なお、私自身は実際にお酒を造ったこと、審査したことはありませんので、「ここの部分は間違っているよ」等、ご指摘がございましたらお知らせいただけるとありがたいです。それではまた次回。

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