おかげさまで、「蔵こん」では現在、850種を越えるお酒情報が掲載されております。

なかなか膨大な数になってまいりましたので、ここでそろそろ、楽しいお酒探しの目安になるアワード(賞)をご紹介しようかと思います。

アカデミー賞、芥川賞、ミシュランガイドの星、などなど。世の中にはたくさんの賞があるわけですが、日本酒におけるもっとも名誉ある賞は全国新酒鑑評会で間違いないでしょう。
それでは、とりあえず美味しいお酒を探そう!というときには、全国新酒鑑評会の金賞を受賞したお酒を選べば間違いないのか、というとそう簡単でもありません。

なぜか。各種アワードについて個別にみていきましょう。

全国新酒鑑評会

モンドセレクション

IWC(インターナショナルワインチャレンジ)

ワイングラスでおいしい日本酒アワード

・他

全国新酒鑑評会

1911年にはじまり、酒類総合研究所と日本酒造組合中央会が共催しています。
表彰は金賞と入賞に分かれています。
今年度は850点のうち、421点が入賞、232点が金賞を受賞しました。

歴史的に最も古く、主催も国内の清酒製造業を取りまとめるような立ち位置になりますので、一番格が高いといえます。
ただ、こちらは酒造技術を評価し、向上を目指すという性質が強いので、技術の粋を集めた特別なお酒が出展されるのが常です。蔵の最高ランクのお酒として商品化されている場合もあれば、通常の商品として流通していないケースも珍しくありません。

実際に何人かの蔵元から伺ったお話を総合すると、

・金賞受賞蔵に技術力があるのは間違いなく、その技術は出展酒以外の、普通のお酒造りにも反映されている。やっぱり実績のある酒蔵は美味しいお酒を造る。

・出展酒自体は、鑑評会の評価基準が減点方式であることもあり、受賞を狙うお酒のタイプにそれほど多様性があるわけではない。

・ただ最近は出展酒のお米や酵母も多様になってきていて、これからもっとおもしろくなるかもしれない。蔵元の性格によって、評価基準にあまり寄せていかない有名蔵、無名蔵もあるから結局は飲んでみないと分からないけどね。

といったところでした。

高価なこともあり、私もまだ3,4種しか頂いたことはないですが、鑑評会出展酒、まして金賞受賞のお酒は、香り、味わいが非常に優れていますのでぜひ一度試していただきたいですね。おつまみなしでいただくのをお勧めします。

モンドセレクション

ビールやおみやげ物など、様々な場面で見かけるモンドセレクションですが、こちらは「スピリッツ&リキュール」部門にて、日本酒も審査の対象になっています。ちなみにビールは「ビール&水&ソフトドリンク」部門にて審査されています。

部門ごとに1点のみ審査員賞となり、

90点以上が優秀品質最高金賞

80点以上が優秀品質金賞

70点以上が優秀品質銀賞

60点以上が優秀品質銅賞となります。

日本酒ではまだあまり出展数が多くないですが、それでも継続的に取り組み、複数年にわたり受賞している酒蔵もありますから要チェックです。

個人的見解ですが、ここ数年の受賞商品を見てみると、お酒の特定名称酒や、価格帯が分かれていない為、高価格帯のお酒がより良い評価を得ている傾向があります。そういう意味では掘り出し物を探すには向かず、順当に安心できるお酒が見つかると言えそうです。

インターナショナルワインチャレンジ(IWC)

1984年にイギリスではじまったワインのコンペティションです。

2007年から日本酒部門が出来ました。

評価部門は各種特定名称酒の他、古酒、スパークリング、普通酒と分かれています。

Gold,Silver,Bronzeの他、Commended(大会推奨酒)があります。

審査委員長は日本人や、海外で酒の流通に関わっている方などバラエティに富み、海外の方にもおすすめできる日本酒を表彰していると言えます。

評価も厳しく、2018年はすべての部門を合わせて1639銘柄が出展され、648銘柄が受賞。その内Goldは97銘柄でした。ちなみにSilver,Bronzeはどちらも270銘柄程度でした。

特徴的なのは年ごとに受賞しているお酒の変化が大きいことですね。日本酒は、同じ銘柄でも年によって出来が変わりますので、その年の特に美味しいお酒を探すことができるといえます。また、同じ年のGold受賞のお酒をみたところ、辛さ、甘さ、香りの華やかさなど、特徴の異なるお酒が並んでいるのも興味深いです。このあたりは豊富な種類を扱う酒屋的な目線が反映されていると思われ、個人的には、新しいお酒と出会いたいのであれば、一番おススメできるアワードです。もっと参加蔵が増えてくると、さらにおもしろくなりそうですね。

ワイングラスでおいしい日本酒アワード

2011年より、株式会社酒文化研究所内の、ワイングラスでおいしい日本酒アワード実行委員会が主催しています。ワイングラスで飲んだ時に美味しい日本酒、という一風変わったテーマのアワードになります。

日本酒は酒器によって味わいが変化することと、和食以外とも相性が良く、海外へも羽ばたいていけるポテンシャルをもっていることを広く示す目的があるそうです。

消費者の目線を強く意識していることをうかがわせるスタイルが特徴的で、2018年のコンテストでは

・一升瓶で2,600円以下

・4合瓶程度の分量でも販売していること

がメイン部門の条件となっています。

他のカテゴリは

・スパークリングSAKE部門

・大吟醸部門

・プレミアム純米部門(1,8リットル2,600円超の純米)

となっています。

評価は最高金賞と金賞に分かれ、メイン部門では307点中15点が最高金賞、82点が金賞を受賞しました。なかなか厳しい評価基準ですね。2018年は数あるアワードのなかでも、最も参加蔵が多かったとのことで、多くの酒蔵が新しい日本酒ファンを獲得しようと頑張っている様子がうかがえます。

当然のことですが、こちらのお酒はワイングラスで飲むことを強くお勧めします。特化型コンテストの面目躍如ですが、香りの華やかさ、確かな酸味、冷酒向きの性質を感じさせるお酒が多く、お猪口でいつものおつまみとあわせるより、白ワインを楽しむようなお食事との方が相性が良いです。若い方におすすめしやすいお酒が見つかりますね。

その他

他にも日本酒のアワードをいくつもありまして、各県ごとの鑑評会や、ワイングラスでおいしい日本酒アワードと同じく、株式会社酒文化研究所が関わっている燗酒コンテスト、海外のワイン雑誌が新しく日本酒のアワード(雑誌社が日本酒をリストアップする形式)を開設したり、といった動きが見られます。

他のコンテストにつきましても、見かける機会が増えましたら別途まとめるかと思いますが、新しいお酒に出会うきっかけとして、これからも各種コンテストが盛り上がっていくと楽しいですね。

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