はじめに
8月某日、奈良県は葛城市にある「梅乃宿酒造」さんに訪問させて頂きました。
「梅乃宿」さんといえば、「梅乃宿」という銘柄が有名ですが、梅酒やリキュール類の「あらごしシリーズ」等も有名な酒蔵様です。
今回は、そんな「梅乃宿酒造」さんの戦略推進部部長の福山和子さんにインタビューして参りました。
梅乃宿酒造のお酒と酒造り
―梅乃宿酒造は商品数が多いなという印象があるのですが。
福山:そうですね。確かに、商品数は多いかもしれないですね。うちは、お客さんが「こういうお酒ないの?」と聞かれると、できるだけご要望にお応えしようとするので、どんどん種類が増えていってしまうんです。その方がお客様にも喜んで頂けますし、何よりうちの蔵は「新しい酒文化創造する」をモットーにしているんですよ。
―確かに、昨日「UK-TONE」を飲ませて頂いたんですが、見た目からもとても新しい印象を受けました。
福山:ありがとうございます。「UK-TONE」は、うちの蔵人達が自由な発想で、自由に酒造りをしたお酒なんです。だから、毎年コンセプトも変わっているんです。杜氏さんがいた頃も、「こういうお酒造りをしたい」ということだけ伝えて、あとは、所々でアドバイスをして頂くだけでした。前の造りからは杜氏制度を廃止して、蔵人だけで考えてお酒造りをしています。
―えっ、今は杜氏さんっていないんですか?
福山:はい。いわゆる、「杜氏」さんはいないですね。うちの蔵人は皆社員なんですけど、去年まで教えてもらったことを大切にしながら、みんなで色々考えながらお酒造りをしています。
―それは、楽しそうですけど、大変そうですね。
福山:はい。大変なことは多いですけど、色々できて楽しいですよ。それにうちは、シフトを作っているので、大変といっても、酒造りの期間中も休みがとれるんですよ。
―シフトというと?
福山:普通のアルバイトとかにあるようなシフトです。お酒造りの期間中も週に1.5日の休みがありますし、造りは管理の都合上、夜も起きていないといけないじゃないですか?でも、うちはシフトを組んでるから、夜勤の人を決めてってやってるんで、しっかり休みがあるんですよ。
―なんというか、酒蔵のイメージとは少しズレますが、ホワイトな職場ですね。
福山:はい(笑)やっぱり、今の時代はこういうふうにしていかないといけないと思うので。だから、とういう訳ではないのですけど、うちは、酒造りのシーズンになると、「酒蔵体験」というのをやっていて、蔵人の酒造りを一日体験できるんですよ。
―それはやってみたいですね。
当蔵は大和盆地の西南に連なる葛城の峰々(二上山・葛城山・金剛山)。古事記万葉の時代から幾幾多の新和・伝統を秘めたその麗のちに、当庫は明治26年(1893年)創醸。以来今日まで”少量高品質”を第一に大和の地酒造りに勤しんでまいりました。 酒造りの基本は良い原料と高精白。山田錦を中心とした酒造好適米を高精白し、葛城山系の伏流水を仕込水に、南部流の技で醸す酒はやわらかく、きめ細やかな味わいが持ち味です。 そんな蔵体験をお楽しみいただける蔵体験は選べる2酒類のコースがございます。 ご希望に合わせて、体験したいコースをお選びください。
リキュールと日本酒
―梅酒やリキュール類の商品数もとても豊富ですが、造り始めたきっかけはあるんでしょうか?
福山:先ほどもお話ししたように、うちの蔵人は全員社員ですので、酒造りをしない期間も雇用しないといけなかったんです。そういう意味で梅酒はちょうど日本酒造りの期間が終わった後に造り始めるので、そういった部分でもよかったというのはあると思います。もちろん、造ってみたら人気が出た、というのはあったみたいですけど。
―確かに、梅酒やそれこそ梅がとれる季節(㋅頃)は余りお酒造りしませんし、リキュールに関しては、一年中造れますしね。
福山:そうなんです。今でこそ、梅酒やリキュールを造っている酒蔵は珍しくありませんが、最初のころは結構いろいろ言われたんですよ。でも、やってみたらいいことの方が多かったかなと思います。リキュールや梅酒の売上が日本酒の酒造りに必要な設備への投資になっていますしね。
―なるほど。最後に、オススメのお酒とかあったら教えてもらえますか。
福山:全部オススメですけど、しいて言えば「月うさぎ」ですかね。うちは、日本酒のスパークリングも結構早く始めてたんですよ。低アルコールで(6%)の微発砲で、日本酒初心者の方にも楽しんでいただけますし、ブルーベリーや、ピーチのテイストもあるので若い方にも好評です。とても美味しいですよ。
―ありがとうございました。
左からピーチ、ナチュラル、ブルーベリー
皆様、いかかでしたでしょうか?
シフトを作ってという話は、とても印象に残っています。酒造りの期間の酒蔵は良くも悪くも激務。というイメージがあったのですが、梅乃宿酒造は工夫に工夫を重ねて、お酒造りに取り組まれている酒蔵様でした。
また、蔵人一人一人が皆イキイキと働かれているのも印象的でした。イキイキした酒蔵からは、イキイキした酒が生まれる。そんなことを思った今回の「酒蔵へ行こう」でした。
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