今回の酒蔵へ行こうは青森県黒石市、鳴海醸造店にお邪魔しました。
歴史香る黒石市
黒石市の歴史をさかのぼると、江戸時代の1656年、弘前藩の支藩として5,000石を文知され、現在の黒石市につながる黒石藩が置かれました。1809年には1万石の外様大名となります。
そんな城下町の面影を特に残す観光スポットに、黒石の中町こみせ通りがあり、鳴海醸造店も中町こみせ通りにあります。
写真の右側が鳴海醸造店の入口になりまして、向かって左側に伸びている建物は渡り廊下で、主家と蔵がつながっています。
入口の横に看板をみつけましたので紹介します。
看板を一部引用しますと、
「市指定有形文化財 鳴海家住宅は、文化3年(1806)に創業された造り酒屋で(中略)、建物の規模は、間口18間弱、奥行き43間半である。(略)
200年以上が経過している(中略)鳴海家住宅は、大きな改築、改修もされず伝統的な店構えを守っており、町並みの景観にも非常に重要な役割を果たしている」
とあります。
黒石駅より8分ほど歩くと中町こみせ通りに出るのですが、こみせ通りは歩道に飛び出た木造のひさしが背丈に対して低く、近所の小学生が作った提灯が飾られ、江戸時代の長屋通りを思わせる趣きです。提灯には「ユーチューバーになりたい」という小学3年生男子の願いが書かれ、時の移りに想いを馳せざるを得ません。がんばれユーチューバー。
さて、いつまでもカメラをもって入口の周りをうろうろしていても不審ですので、そろそろお邪魔します。
鳴海醸造店
鳴海醸造店の、渡り廊下の内側には立派な庭園があります。こちらは建物とは異なり、国の登録文化財に指定されています。
外観の写真の、こみせ通りの裏側に位置する大石武学流の庭園。津軽地方の代表的な庭園の様式とのこと。大石武学という人物が実在したわけではないそうです(参考サイト:http://zuirakuen.com/)。
さてさて、それではいよいよ、鳴海 信宏 社長にお話をお伺いします!
本日はお忙しいなか、お時間いただきましてありがとうございます。
鳴海「いえいえ」
ざっくりとした質問で恐縮なのですが、土地の酒蔵がもつ、土地の酒のイメージを伺おうということで、青森県のお酒のイメージについてお聞かせ願えますか?
鳴海「全体的な特徴は東北地方のお酒らしくというのでしょうか、軽快で飲み口の良いお酒、すっきりしたお酒が多いかな。海に囲まれていますし、海産物と地元の野菜にあわせて、相性が良いお酒を醸していますね。
うちの特徴としては、八甲田山系の、南八甲田の水をつかっているのですが、これもやはり飲み口がすっきりした、優しい口当たりが特徴です」
ありがとうございます。
ここでちょっと、蔵の見学をお願いします。
鳴海「どうぞどうぞ」
鳴海「あまりかわったものはないと思いますが」
いえいえ、木桶であったり、古風な設備がみられますが、これらは今も現役でしょうか?
鳴海「ええ。現役ですよ。たとえば、いまは片づけてしまっていますが、こちらの木桶も現役です」
おお!
鳴海「まるで、はじめて蔵見学するみたいに盛り上がっていますね(笑)」
いやいや、これでも結構な数の酒蔵さんを見学させていただいているのですが、先日お邪魔した齋藤酒造さんといい、城下町の歴史ある酒蔵といいますか、映画のロケ地みたいで興奮します。
鳴海「うちは庭も含めて見学もできますよ」
すばらしい。せっかくですので記事でも告知いたしますね。
HPより引用。
文化三年(1806年)の創業時より数十年前に近江商人が建てたといわれる、伝統的建築物の当蔵を見学できます。
「日本の道百選」のひとつ、中町こみせ通りのハイライトとして、毎年多くの方にご利用いただいております。
商品の無料試飲と販売も行っております。ぜひお立ち寄りください。
無料試飲とご購入は、お車を運転してお越しの方、20歳未満の方はご遠慮ください。
期間 | 4月下旬~10月下旬(酒造時期を除く) |
時間 | 9:00~16:00 |
対応人数 | 30人まで |
所用時間 | 約30分 |
予約 | 要予約。見学日の3日前までに電話又はFAXでお申し込みください。 |
料金 | 見学無料 |
売り場に戻って参りました。
さきほど、「稲村屋」を手に取り撮影させて頂きましたが、「稲村屋」についてお聞かせ願えますか?
鳴海「地元では「菊乃井」で知られている鳴海醸造店ですが、屋号は「稲村屋」でして、伝統の銘柄になります。ただ知名度は逆転していまして、地元用が「菊乃井」、県外向けが「稲村屋」になっています。
そういう意味でも「稲村屋」はお客様の間口を広げるイメージがあり、一度火入れで(通常は2度火入れ)、フレッシュ感に特徴を持っています」
ありがとうございます。弘前ではいま、各酒蔵さんが、新しい酒米で造りにチャレンジされているとお聞きしましたが、鳴海醸造店ではどのような取り組みをされているのでしょうか?
鳴海「「菊の井 純米吟醸華さやか」のことですね。こちらは今、青森県の新しい酒米である「華さやか」をつかっています。酒米の特徴がよく出ていますね。
「華さやか」はタンパク質が分解されにくいお米です。アミノ酸度が強いと旨味も強いが雑味も出やすいという特徴がありまして、「華さやか」の場合、タンパク質が分解されにくいのでアミノ酸度が抑えられ、すっきりしたお酒になります。
そこで、うちは香りが豊かな酵母をつかいまして、華やかで甘口のお酒に仕上げています。香りはシャインマスカットのようで、洋食にも合わせやすくなっています」
洋ナシや、メロンのような香りですか?
鳴海「いや、カプロン酸エチル(リンゴ、バナナ、パイナップルと言われる)寄りですが、また少し違って、柑橘系が近いですね。
あ、ひとつ注意点と申しますか、「菊の井 純米吟醸華さやか」は通常の流通でお買い求めやすくなっておりますが、先ほどの「稲村屋 特別純米」は、実は平成28年からの新しいお酒でして、一部地酒屋さん取り扱いの限定流通になっておりますのでご注意ください」
なるほど。ありがとうございます。
ちなみに、都内飲食店さんで鳴海醸造店のお酒が楽しめるお店、お付き合いのある飲食店さんはいらっしゃいますか?
鳴海「都内でも酒屋さんを通してお酒を置いてもらっているお店は色々ありますが、お付き合いのあるというと、高田馬場に「漁介」という居酒屋さんがありまして、青森出身の方のお店です。そのお店が「やだらめぇ」(やたら旨い)という青森の料理、お酒推しのお店をやっていまして、たまにご挨拶したり、小さくなにかしら企画したりとやっていますね」
ありがとうございます。今度私も遊びに行ってみます。
鳴海「ぜひぜひ」
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