【酒蔵へ行こう】奈良県「風の森」醸造元油長酒造 「風の森の美味しさに迫る」

はじめに

8月某日、奈良県は御所市にある「油長酒造」さんに訪問させて頂きました。

油長酒造さんといえば、「風の森」や「ALPHA 風の森」等で有名な酒蔵です。皆様も一度は飲んだことがあるのではないでしょうか?

今回はそんな、油長酒造さんの「風の森」や「ALPHA 風の森」に関してのインタビューを代表の山本嘉彦氏に伺って来ました。

 

「風の森」について

―「風の森」を造り始めたキッカケを教えて頂いてもよろしいでしょうか?

山本:「風の森」は20年前から造り始めているんですけど、20年前の僕はまだこっちに帰っていなかったから(山本嘉彦氏は30代半ば)、私がはじめたブランドではありません。父がスタートさせたブランドで、当時は地元の人も大手のお酒を飲んでましたから、地域性があって地元に愛されるようなお酒を造ろうとしていたんじゃないかと思うんです。少なくとも、今はそうなることができましたしね。

―確かに、都内でも「風の森」は人気でレアなお酒って印象で、よく見かけるお酒ではないと思うのですが、奈良に来てからは、酒屋さんでも居酒屋さんでもとてもよく見かけますし、何より安いですよね。

山本:そういう意味でも、うちは地酒なんですよ。値段は東京も奈良も変わらないとは思うのですけど、やっぱり基本的にはお手頃な価格でないと、家の冷蔵庫には置いてもらえないでしょう?うちは、奈良の一般的な家庭の食卓に置いてもらえる酒を目指しているんです。家族の中で美味しいお酒が世代を超えて伝わればそんなありがたいことはありません。

―確かにそういうお酒ってまだ余りないイメージですね。

 

「風の森」の特徴

―「ALPHA 風の森」と「風の森」の違いを教えてもらえたらなと思っているんですけど。

山本:「風の森」には、通常の「風の森」シリーズと「ALPHA風の森」シリーズの二種類があるんです。通常の「風の森」シリーズは全てが無濾過無加水生酒で、お米精米の違いを楽しむように造っているんです(ちなみに「風の森」の75%は地元の契約栽培米を使用している)。

逆に「ALPHA風の森」のシリーズは従来の「風の森」の枠を超えて設計して、造りの違いも楽しんでもらえたらって思っているシリーズなので(低アルコールや燗酒設計等)。元々、奈良は日本清酒発祥の地っていうのもあって、折角、奈良で酒造りしているんだから、新しい醸造技術にどんどん取り組んでいきたいなと思っているんです。

―お酒造りに関して、最も大事にされていることがあれば、教えて頂けたらなと思っているんですけど。

山本:うちの酒の特徴っていうと、やっぱり「生酒」であるということですね。海外向けに醸造した「ALPHA 風の森 TYPE 3」っていうのがあって、これが「風の森」や「ALPHA 風の森」のシリーズの中では、初めての火入れの商品なんですけど、僕、日本酒は生酒の方が基本的には好きだし取り組んでいきたいと思っているんです。「ALPHA 風の森 TYPE 3」を造っている時に気が付いたんですけど、火入れすると味のボリューム感が薄くなって、味がカタクなるんですよ。そういう意味で、「ALPHA 風の森 TYPE 3」は「風の森」らしく造るのにとても苦労しました。ちなみにですけど、生酒の利点ってどういったものだと思われますか?

―生酒の利点ですか?やっぱり、味が濃いっていうか、味の成分が多くなるっていうイメージはありますね。

山本:そうですよね。「生酒」にすると味のボリューム感が違うんですよ。味が立体的になるんです。そういう意味でも、「生酒」のアドバンテージは触覚なんですよ。

「生酒」からはとろみを感じるんです。プルン、トロンっていう。しぼりたてのお酒っていうのは、僕の中ではゼリーが近いんです。粘性が高いっていうことは、美味しい時間が長いってことなんです。1秒間美味しいのと、2秒間美味しいのだったら、2秒間美味しい方がより美味しいでしょう?このとろみが「風の森」らしいエッセンスなんですよ。

だから、時々言われるんですけど、シュワシュワ感とかは「風の森」にとっては目的じゃないんです。シュワシュワ感が目的だったら、炭酸ガスを入れればいいわけですから。無濾過で生だったら炭酸は残るものなんです。だから、「風の森」のシュワシュワ感はある時はそれを楽しんで頂き、無くなってからは一層味わいを増した「風の森」をお楽しみ頂くことが出来るんです。うちのお酒は炭酸が抜けた後も美味しいですよ。

 

油長酒造の酒造り

―先程は、施設見学をさせて頂きありがとうございました。雄町(施設見学をさせて頂き、「風の森 雄町」のしぼりたてを飲ませて頂いた。役得である)美味しかったです。それにしても、8月でも酒造りをされているということは、四季造りなんですか?

山本:はい。四季造りですね。日本酒って、他の製造業とかと比較するとちょっと変わっていて、10月位から4月位までの間で造って、その造ったので一年を通して流通させていく感じでしょう?「風の森」ではイキイキとした生酒を提供したいと思うから、いつも状態のいい生酒が飲めるように4年前から四季造りにしているんです。

四季造りで基本的に4つのサイクルで造りをしているから、常に在庫を管理しやすくなるんです。そうすることで、常に「風の森」を新鮮な状態でお客様の口の中にお届けすることができるでしょう?

―言われてみれば、「風の森」で「熟成酒」は余り聞きませんね。

山本:僕自身、熟成酒のあれがダメとかこれがダメとかはないんです。美味しいものは美味しいですし。実際、うちの「風の森」を熟成させたやつも飲んだことがあって、確かにこれはこれで美味しいなと。でも、じゃあうちで1年2年熟成させた酒を安定して美味しい「風の森」として出荷できるかと言われるとイマイチ自信はないですし。それに、老若男女問わず「美味しい」と思える酒って、「熟成酒」よりかは、「しぼりたて」のお酒だと思うんですよね。

―老若男女ですか?

山本:子供からお年寄りまで楽しめる酒を造りたいなと。

―子供は飲めませんよ(笑)

山本:確かに(笑)でも僕は、やっぱり日本酒をもう一度、家庭の食卓に置きたいんです。昔はそれこそ日本酒が全盛だった時代なら、日本酒の美味しさは親から子に自然に伝わっていたかもしれませんが、今は家飲みを家族で。というのが少なくなっていると聞きます。

だけど、老若男女問わず楽しんで頂ける日本酒なら、親から子に地酒として伝わっていくと思うんです。お母さんも美味しければ飲むかもしれないし、おばあちゃんも飲むかもしれない、年齢的にOKなら子供も日本酒に目覚めるかもしれないでしょう?だから、僕はそこに置いてもらえるお酒を造りたいんですよ。

―確かに、そういう酒って「風の森」みたいなお酒なのかもしれませんね。

写真は油長酒造の中から見える風景

いかがでしたでしょうか?

今回は、お話がとても面白かったので、なるべくありのままを知って頂けるように、インタビュー形式でお送りいたしました。

やっぱり、お酒って奥が深いんだなー。と改めて思わされました。これはこぼれ話になりますが、インタビュー内にもありましたが、「風の森」無濾過無加水生酒で、開栓してから何日間か冷蔵庫で保存しながら少しずつ減っていくことを想定して、「日々の味の変化を楽しんでもらいたい」と伺いました。筆者は美味しいお酒なら4合瓶でも1日で空けてしまうとお伝えした所、「それは強いですね」と苦笑いしながら言われてしまいました。そんな訳で、奈良駅近くの酒屋で自分用のお土産で買った「風の森 秋津穂 純米しぼり華」は、じっくり楽しんでおります。皆様も「風の森」をお楽しみの際は、じっくり飲んでみましょう。

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