不定期にて酒屋の名店を紹介する【酒屋へ行こう】
今回は「豊島屋酒造」の「屋守」に注目して、蔵元さんとの付き合いが深い「降矢酒店」にお邪魔しました。
豊島屋酒造は東村山市にあり、「降矢酒店」はその隣、清瀬市にお店を構えます。車で20分の距離ですので、ほとんどご近所さんですね。
降矢酒店
清瀬市役所のほど近く、落ち着いた住宅地に「降矢酒店」はあります。
1964年(昭和39年)に一般的な酒屋として開業。2005年頃から代替わりをして、「地酒専門店」に舵を切りました。
現在では多くの酒蔵の商品を取り扱う本格的な地酒屋ですが、現店主は「約13年間、蔵さんや飲食店さん、お客さんとのご縁があって、助けてもらってやってこれました」と微笑みます。
少しマニアックな話ですが、珍しいラベルのお酒が目につきましたので、地酒屋さん向けの特別商品はどういう仕組みで造られるのかお聞きしてみました。
例外もありますが、まずは9月頃に蔵元さんが仕込む予定のお酒の話をしたり、酒屋さんがこういうタイプのお酒が欲しいと伝えたり、といった意見交換を行います。
その上で蔵元さんがニーズのあるお酒造りにチャレンジしたり、酒屋さんが仕入れるお酒を決めるそうです。
お店によって違いがあるかもしれませんが、「降矢酒店」の場合は蔵元と酒屋の心理的な距離が近く、例えるならば遠い親戚のような感覚でお付き合いしているとのことです。
ときには子供の話や家族旅行先の相談などを交えつつ、率直なやりとりでお酒業界を盛り上げているんですね。
屋守
複数種類の「屋守」ラベルのうち、店長おすすめの一本を撮影させてもらいました。
「降矢酒店」と「豊島屋酒造」はご近所ということもあり付き合いも深く、今でもお酒の絞りが終わった3月頃に、試作品を含めて20数種類あるお酒の試飲と意見交換を続けています。
豊島屋酒造の田中部長(参考記事)と、降矢店長、飲食店の方とあわせて4名程度で夜から利酒をはじめ、夜中11時半まで、厳しい話を含めて腹を割ってお話しするそうです。
みなさんの年齢の近さから気安さもあり、お酒を飲んで言葉が荒っぽくなったりしてもご愛嬌。全員で向上心を共有しているため、仲良くお付き合いが続いています。
「降矢酒店」の壁には「屋守」の原画が飾られています。
実際のラベルのものはこちら。
約10年ほど前には、ラベルのデザインをつくるにも手作業感があり、デザイナーさんのつくるフォントを編集するようなことはできないながら、「配置をこうした方が見やすいんじゃないか」「フリガナはどうしようか?」など相談していたそうです。
蔵元だけでなく、酒屋も一緒にお酒を作り上げていることが感じられる逸話でした。
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