今年も暑い夏がやってまいりました。

ビールが美味しい季節ですね。

でも、健康を考えてビールは控えないとなんてことも時々、耳にします。

どうせ飲むなら美味しくて、体にいいものがいいのではないか。

そんな訳で、昨年の「【四つの酒蔵に聞く】最もハイボールが美味しい黒糖焼酎はどれ?」に引き続き、今回は「【14の酒蔵に聞く】最もハイボールが美味しい米(球磨)焼酎の銘柄はどれ?」ということで、球磨焼酎のハイボールにオススメの銘柄を14の酒蔵様にきいてまいりました。

ちなみに、球磨焼酎とは、国産の米を原料として、熊本県の人吉球磨の水で仕込んだ醪(もろみ)を人吉球磨の場所で単式蒸留器(いわゆる乙類焼酎、本格焼酎とも)を使って蒸留し、瓶詰めした焼酎を指すことばです。簡単に説明すれば、熊本県の人吉球磨という場所周辺で造られている米焼酎と認識してもらえればいいと思います。

球磨焼酎は、芋や麦、黒糖焼酎と同じく、プリン体や糖分は全く含まれておりません。ですから、体に優しく、米で作られている焼酎のため、どんな料理にも合わせやすいという特徴を持っております。

様々な種類の味もあり、今回紹介させて頂いた球磨焼酎を全て試せば、きっとあなたが美味しいと思う一本が見つかるハズです(14の酒蔵ですから、全て試すのは大変だと思いますが…)。

高田酒造場さんがオススメする「あさぎりの花」

100年を超える伝統を持ちながらも、様々な酒造りに挑戦されている高田酒造場さん。今回はそんな高田酒造場さんの13代目、高田恭奈さんに、オススメの球磨(米)焼酎について聞いて参りました。

高田恭奈さんオススメの「あさぎりの花」

「「あさぎりの花」は日本酒の吟醸酒のような香りが特徴の球磨(米)焼酎ですので、ソーダ割にすれば辛口の日本酒のスパークリングのように楽しめますよ」

とのことでした。糖分が含まれていない分、日本酒のスパークリングよりも体には優しいかもしれません。

試飲販売会などでは、日本酒と間違えられて、「この日本酒強く(度数が)ないですか?」と聞かれることもあるほど日本酒のような吟醸香が楽しめる「あさぎりの花」。ナデシコ酵母で醸した醪を蒸留することによって、優美で華やかな香りの球磨(米)焼酎を実現させたそう。ストレートやロックでも甘めで華やかな味わいですが、ソーダ割にすると、華やかな香りが更に際立ち、ストレートやロックでは際立っていた甘みが控えめになる分、逆に存在感の薄かった酸味が際立ち、ピチピチとしたソーダの刺激も合わさって、より爽やかなハイボールとして楽しむことができるでしょう。

焼酎1:ソーダ2のやや濃い目の割合でソーダ割をつくると、とても爽やかで美味しい球磨ハイボールを作ることができます。是非、お試しください。

福田酒造さんがオススメする「樽御輿 12年限定古酒 原酒」

球磨(米)焼酎は、焼酎業界の中でも早いうちに樽熟成を始めた業界なのです。そんな球磨焼酎(米)の樽熟成を造っている酒蔵の中の一つでもある福田酒造さんの代表、福田寿一さんにハイボールにオススメの銘柄を聞いてまいりました。

福田寿一さんオススメの「樽御輿12年限定古酒 原酒」

「ハイボールはある程度、アルコール度数が高いほうが美味しいと思うんです。これは原酒の樽御輿なので42度あります。だから、ソーダをたくさんいれても薄い味にならずにすむ。普通の20度台の焼酎でハイボールを作ると、やっぱり物足りないんですよ。このお酒なら、ソーダを沢山いれられる分、ソーダの炭酸を強く感じることができますしね。ウイスキーと比べるとクセも少ないので、和食にもハイボールで合わせられるんです」

とのことでした。樫樽で12年熟成させているため、ウイスキーと少し似ている味わいにも思えますが、やはり米が原料の焼酎ですので、様々な料理に合わせやすい味わいです。

口に含むと、ピチピチとした炭酸の刺激と共に、米由来の甘みが口に広がり、木の香り(樫樽 ホワイトオーク)が鼻腔をくすぐります。12年もの熟成期間のおかげか、アルコール独特のカドがとれてやさしくも力強い味わいとなっています。

そもそも味わいの濃い原酒のお酒ですので、焼酎1:ソーダ4ないし、ソーダ5の割合くらいで作ると芳醇でありながら軽快な味わいの球磨ハイボールとなるでしょう。是非、お試しください。

松本酒造場さんがオススメする「萬緑」(ばんりょく)

創業は明治41年、小さい酒蔵ながら、独自の自家培養酵母を造りに使用し、随所にこだわりの酒造りを行う松本酒造さん。今回はそんな松本酒造場さんの代表杜氏、松本敏幸さんにハイボールにオススメの銘柄を聞いて参りました。

「僕、あんまりソーダ割はしてなかったんだけど、お客さんとかに聞いて試してみたらこれが一番オススメってことになりましたね」

松本敏幸さんオススメの「萬緑」

「うちのは少し変わっているっていうか、まぁ減圧蒸留ではあるんですけど、母校の大学(東京農大)からもらってきた酵母で造っているんですよ。吟醸系の香りではないんだけど、ちょっと違ったタイプのいい香りがするんですよ。

それで、味が減圧蒸留なんですけど、減圧蒸留としてはかなり味がのっているというか、濃厚な味わいになっているので、たまに常圧蒸留ですか?と聞かれたりもすることもあるんです(笑)。だから、というわけではないですけど、炭酸で割ると飲んだ後のキレの後に余韻が残るところが特徴ですかね。これはうちの「萬緑」の特徴でもあるんですけど、ロックの氷が解けても、水割りにしても、水っぽくならずに、しっかり味が残るんです」

焼酎の酒蔵としては酵母にこだわりを持つという少し珍しい松本酒造場さん。そのおかげか、飲んでみると変わった印象を受けます。濃厚な味わいでありながら、軽やかな味わいは「萬緑」の特徴でしょう。

口を付けると梅のような香りが広がり、ピチピチとした炭酸の刺激と米のコクとほのかな酸味を感じることができ、梅のような香りの余韻が優しく口の中に残ります。

焼酎1:ソーダ3位の割合で作ると、爽やかでどこが懐かしい味わいの球磨ハイボールを楽しむことができるかと思います。ぜひ、お試しください。

繊月酒造さんがオススメする「焔の刻印」

多くの、地元人吉(熊本県人吉市)の球磨っ子に愛される繊月酒造さん。今回はそんな繊月酒造さんの社長、堤純子さんにソーダ割にオススメの銘柄を聞いてまいりました。

堤純子さんオススメの「焔の刻印」

ぐるなび主催の秘書に選ばれる、「接待の手土産」というお菓子や調味料など様々な品物が出品される品評会の中で、上位30の中に焼酎では唯一選ばれたのがこの「焔の刻印」。

「焔の刻印」は10年以上の樫樽貯蔵(ホワイトオーク)の原酒から瓶詰めされるそう。

「うちは樽貯蔵ようの樽を購入する際は、一度使われた樽は一切購入しないんです。だからうちに入ってくる樽は全て新樽なんですよ。新樽は管理が難しくて色々大変なところもあるんですけど、洋酒の味が混ざらないんです。ですから、熟成された本来の米焼酎の味と香りと、本物の樫樽の風味を楽しんでいただける球磨焼酎となっています。うちは、その本物の味わいを常に追及しているんですよ」

とのお話でした。

常圧蒸留で造った米焼酎と、減圧蒸留で造った米焼酎を樫樽で熟成させ、ブレンドさせた逸品。

純粋な樫樽の香りの中にほのかな米の風味を感じることができ、口に含むと炭酸の刺激と濃厚な樫樽の味わいの中に隠れる米由来の甘さを感じることができます。非常に美味しい球磨ハイボールを作ることができるでしょう。居酒屋でゴクゴクと料理と楽しむというよりかは、BARの片隅でチビチビと楽しみたくなる。そんなハイボールとなるでしょう。

焼酎1:ソーダ5の割合で作ると、とても美味しい球磨ハイボールになりますが、出来ればハーフソーダ(1:1)で一度は楽しんでいただきたい球磨焼酎の中でも最高峰の逸品です。

那須酒造場さんがオススメする「球磨の泉 原酒」

家族で小規模ながらこだわった酒造りを行われている那須酒造場さん。まさに地酒といった趣ですが。そんなこだわりの酒蔵那須酒造場さんの専務取締役、那須雄介さんにオススメのハイボールについて教えて頂きました。

那須雄介さんのオススメする「球磨の泉 原酒」

「「球磨の泉」は常圧の球磨焼酎ですので、しっかりとしたお米の風味やコクが豊かに感じられる銘柄となっています。この焼酎は原酒なので、ソーダで割ってもしっかりとしたコクや風味、常圧特有の香ばしさもしっかり感じて、美味しく楽しむことができると思います。25度の通常銘柄でもじゅうぶん美味しいとは思うのですが、やはり25度の焼酎だとすでに水割りされている状態ですので(25度~35度位の度数の焼酎は加水されている)、やはり原酒の方がソーダの爽快感や刺激感と共に球磨の泉の美味しさも感じて頂けると思っているんです」

「減圧の焼酎なら、すごく清涼感があって、レモンとかシロップなんかをいれてレモンサワーやカクテルみたいにして飲んでも美味しいんです。でも、常圧の焼酎だとやっぱり米本来の風味とかをしっかり感じてもらえると思うんですよ」

焼酎本来の美味さをガッツリ楽しめる球磨ハイボールです。焼酎1:ソーダ5程度の割合で割ってもしっかりとした米由来のコクを楽しむことができると思います。是非、お試しください。

房の露株式会社がオススメする「吟醸房の露」

様々なお酒造りに挑戦されている房の露さん。今回はそんな房の露さんの取締役副社長、堤 有史さんに球磨焼酎のソーダ割にオススメの銘柄を教えて頂いて参りました。

普段から球磨焼酎のソーダ割は楽しんでいるという堤有史さん。

「うちでオススメするとしたら、吟醸房の露ですかね。これは、精米も60%まで磨いていますし(通常の米焼酎では玄米の外側を取り除いた程度ですませる)、麹も日本酒とかで使われている黄麹で、酵母も日本酒とかに使われる吟醸酵母(9号酵母)を使って、低温発酵で造っているんです。とても爽やかな香りがするので、ソーダ割にするならこれくらい爽やかなお酒の方がいいかなと思います」

「球磨(米)焼酎は基本的に糖分もプリン体も含まれていなので、体に優しいですし料理はなんにでも合わせやすいので、ソーダ割はオススメですね」

とのことでした。

味もさることながら、ビンまで爽やかな印象を受ける「吟醸房の露」。

吟醸系の華やかな香りと、ソーダの刺激にやわらかな米由来の甘みが口に広がっていき、余韻には爽やかな香りが残ります。

焼酎1:ソーダ2ないし3の割合で炭酸割りを作ると、非常に爽やかで美味しい球磨ハイボールを作ることができるでしょう。是非、お試しください。

常楽酒造さんがオススメする「秋の露 蔵のこだわり」

創業は大正元年、伝統を守りながらも新しい酒造りに挑戦し続ける常楽酒造さん。そんな常楽酒造の代表、米来 健さんにハイボールにオススメの銘柄を聞いて参りました。

「うちも、お客さんに飲み方とかをオススメする場合は、最近はハイボールないしソーダ割りをオススメするのが殆どになってきているんですよ」とのお話し。

「秋の露 蔵のこだわり」が「ソーダ割にするならオススメなんですよ」とのこと。球磨焼酎の中でも一早く、樫樽での貯蔵をはじめたという常楽酒造。樫樽での熟成貯蔵を最低でも三年以上おこなったものだけをブレンドして造られたのがこの「秋の露 蔵のこだわり」だという。

心地の良い樽が強く感じられる球磨焼酎です。ですので、ウイスキーとか好きだけど、焼酎は苦手という方には強くオススメできる銘柄だと思います。

「我々の時代は、とりあえずビールっていうのが当然だったんですけど、最近は1杯目にビールっていうのも、減ってきていて、色々なお酒の色々な飲み方がされる時代になっていると思うので、そういうのもあってソーダ割はとてもいいと思うんですよね」

「うちは、常圧や減圧蒸留の白物(色がついていない樽貯蔵をしていない焼酎を指す)も結構造っているんですけど、樽熟成で造った球磨焼酎をうちはずっとメインで販売してきたんです。この「秋の露 蔵のこだわり」はウイスキーのようなフレーバーもかなりありますので、ソーダ割にしても樫樽の風味を楽しんでもらえるかなと思います」

口に含むと、ピチピチとした炭酸の刺激と、木の香りを存分に楽しむことが出来、木の風味と米由来のやさしい甘さを感じることができます。焼酎のソーダ割といわれなければ、まったく気がつかない味わいです。

焼酎1:ソーダ3位の割合でハイボールを作ると、樫樽の風味を存分に楽しむことが出来る球磨ハイボールを作ることができるでしょう。是非、おためしください。

抜群酒造がオススメする「熟香抜群」

地元の人々に根差した酒造りを行われている抜群酒造。そんな抜群酒造の代表、西達彦さんにハイボールにオススメの銘柄を教えていただきました。

西達彦さんのオススメする「熟香抜群」

「スッキリしていて、甘口で香りのいい球磨焼酎なんで、ソーダ割にしても美味しいと思いますよ」とのこと。

燻製のようなこうばしい香りと、ローストしたようなあざやかな苦味、米由来のほのかな甘みが特徴の球磨焼酎です。お酒自体が大人の飲み物なのですが、まさに渋い大人の飲み物といった印象。減圧蒸留とは思えないほど軽やかで濃厚な味わいです。

ソーダ割にすると、燻製のような香りが更に際立ち、ピチピチとした爽やかなソーダの刺激と、あざやかな苦味から米の甘みがふと顔を出す。爽やかな喉への刺激の後に、こうばしい余韻が残ります。

焼酎1:ソーダ3ないしソーダ4位の割合でソーダ割をすると、渋めの大人な球磨ハイボールを作ることができると思います。是非、お試しください。

豊永酒造さんがオススメする「豊永蔵」「常圧豊永蔵」

伝統を守りながらも、革新的な酒造りに挑戦され続けている豊永酒造さん。今回はそんな豊永酒造さんの常務、豊永遼さんにハイボールにオススメの銘柄を教えていただきました。

「うちは球磨焼酎の炭酸割りはずっと前からオススメしてきたんですよ。最初、オススメしていた時はよく怒られたんです。蔵元がなんてことを言うんだ。ソーダで割るなんてとんでもないって(笑)でも、最近は酒販店さんや飲食店さんも、いろいろな飲み方を提案するようになってきたので、ようやく日の目を見だしたのかな。と思っています」

とのこと。そんな豊永遼さんにオススメの銘柄を聞いてみると、二つの銘柄をあげたうえで「うんうん」と迷われます。「正直どっちも合うんですよね~(笑)」ということで、

豊永遼さんと「豊永蔵」と「常圧豊永蔵」

「「豊永蔵」は球磨焼酎でも主流になっている減圧蒸留でスッキリタイプのものになっています。香りはいわゆる吟醸のはなやかな香りがするタイプの球磨焼酎なんで、爽やかなハイボールができると思います」(白い方)

「「常圧豊永蔵」は昔ながらの常圧蒸留なんですけど、弊社の常圧蒸留は他の球磨焼酎の酒蔵さんとは少し違うんです。常圧というと昔ながらのクセのある香りといった印象になると思うんですけど、弊社の常圧蒸留はこうばしさと甘さのあるタイプになっているんです。米焼酎なんですけど、麦焼酎のようなこうばしさを楽しめるハイボールが作れると思いますね」(黒い方)

「豊永蔵」の方は焼酎1:ソーダ3で、「常圧豊永蔵」の方は焼酎1:ソーダ3ないし4の割合でハイボールを作ると「豊永蔵」の方はスッキリと爽やかな、「常圧豊永蔵」の方は、麦のようにこうばしくも、米由来のどこかほっとする甘みを感じることができる球磨ハイボールを作ることができると思います。是非、お試しください。

林酒造場さんがオススメする「熊本城」

創業は江戸中期、球磨焼酎を造る酒蔵の中でも屈指の歴史を誇る林酒造場さん。今回はそんな林酒造の杜氏、林泰広さんにハイボールにオススメの銘柄を聞いて参りました。

「基本的に球磨焼酎はなんでもソーダ割とは合うと思うんですけど…」

そんな、悩みを口にされて、悩みに悩み抜いたすえ、「あえて選ぶなら」といって、オススメしてくれたのが林酒造さんの銘柄の中で樽熟成を行っている「熊本城」でした。

林泰広さんオススメの「熊本城」

「熊本城」は古樽熟成の常圧蒸留の焼酎です。大半の樽熟成の球磨焼酎は減圧で蒸留されたもののため、常圧の樽熟成は少し珍しいタイプの球磨焼酎ということになります。

「熊本城」は全てに最低3年の熟成期間をおいているため、年間約700~800本程度のみを販売されているとのことでした。

原酒に近い35度ということもあって、薄めに作っても濃い味わいの球磨ハイボールを楽しむことができるでしょう。

口に含むと、炭酸の強い刺激が感じられ、常圧特有の米由来の甘くこうばしい香りと樫樽の香りが渾然一体となって広がっていきます。ソーダによって爽やかになった甘味の後、キリッとした軽い辛みが味を引き締め、こうばしい余韻が残ります。

焼酎1:ソーダ3~4くらいの割合で作ると美味しい球磨ハイボールを作ることができるでしょう。是非、お試しください。

松の泉酒造さんがオススメする「水鏡無私」

地元、球磨っ子の晩酌に親しまれている松の泉酒造さん。そんな松の泉酒造さんの副社長、松岡展世さんに、オススメのソーダ割に向く球磨焼酎の銘柄を聞いて参りました。

「色々考えたんですけど、ハイボールとしてはこの「水鏡無私」がいいかなと思います」

松岡展世さんオススメの「水鏡無私」

お酒の名前は「三国志」の「水鏡の能く物を窮めて怨無き所以は其の私無きを以てなり」という一説から由来しているそう。

「白麹を使用して低温仕込みで造り、米はヒノヒカリを使用しています。蒸留は減圧蒸留ですね。酵母は吟醸酵母と球磨焼酎の酵母を掛け合わせたものを使用しています。ですから、吟醸香があるんですよ。ですので、ソーダで割ると華やかな吟醸香が弾ける感覚を楽しんでいただけるかなと思います」

本来の球磨焼酎の酵母だと、米を磨いてしまうと味が悪くなってしまうんだとか。お米を磨く場合は、酵母を吟醸系に切り替える必要があるそう。

口をつけると、バナナのような香りが鼻から抜けていき、炭酸の刺激と米由来のやさしい甘みが口に広がっていきます。飲んだ後のキレもよく、元々どんな料理にも合わせやすかった球磨焼酎が、ソーダが足されることで、油が強めの食事との相性も更によくなっています。

焼酎1:ソーダ3程度の割合でハイボールを作ると、とても美味しい球磨ハイボールを作ることができると思います。

渕田酒造場さんがオススメする「Fuchita 15年 大古酒」

創業は明治11年、人吉の繁華街に居を構える渕田酒造場さん。樽熟成や熟成酒に力を入れている酒蔵さんです。そんな渕田酒造の代表、渕田將義さんにオススメを伺ってまいりました。

渕田將義さんと「Fuchita 15年 大古酒」

「僕はお酒が飲めないんです。もちろん、焼酎を造る際には味をみますよ。口に含む分には問題ありませんから。だから、お酒を飲めないということもあってか、苦味とかえぐ味が好きじゃないんですよ。そういうのもあって、なるべく焼酎にはそういう味が出ないように造っているんです」

とのこと。今回オススメ頂いたのは、タンクで15年もの熟成期間をおいた「Fuchita 15年」。アルコールのカドがとれ、非常に丸味と甘味のある味わいでありながら、どこか繊細さを感じさせる球磨焼酎です。とにかく、美味い!とはいえ、15年貯蔵はもったいないのではないか?そんな疑問をぶつけると。

「酒は寝かせた方が美味しいんです。それに、ハイボールにするならやっぱりある程度の濃さがないと美味しくならないと思う」

とのお話でした。

個人的には、ソーダ割というより、ハーフソーダ(1:1)位の割合ないし1:2位の割合いで作ると、ソーダの爽快感は弱めですが、その分、丸味・甘味・繊細さを十分に感じることのできる球磨ハイボールになるかと思います。

大和一酒造さんオススメする「隠礼里」

牛乳焼酎「牧場の夢」や、温泉水で造った「温泉焼酎」でも有名な大和一酒造さん。そんな大和一酒造さんの代表下田文仁さんにハイボールにオススメの銘柄を聞いて参りました。

「まだ、全種類試してないんですよね(笑)どれかな~」

と、少し考えられてから、「まっ、常圧系が面白いかな…」と呟かれて、「あんまりたくさん売ってるわけではないんですけど」といって、手に取られたのが、「隠れ里」という銘柄でした。

下田文仁さんオススメの「隠礼里」

「この「隠礼里」は玄米で造っているんですよ。ですから、全く磨きというのをしてないんです。玄米に直接、麹をつけて造ってる少し変わり種の球磨焼酎ですね。原料が玄米ですし、常圧蒸留ですから結構、力強く濃い味わいなんですけど、やわらかさやなめらかさも感じられるんです。ですから、ガツンと味がきそうなんですけど、女性でもわりに飲みやすい焼酎だと思います。味わい深いので、ハイボールにしても美味しいと思います。これが一番オススメですかね」

とのことでした。

ちなみに、この大和一酒造さんのいわゆる仕込み水は全て温泉で行われているとのこと。色々聞いてみると、大和一酒造さんの周辺はそもそも地下水を掘れば温泉が出てくるのだとか。なんともうらやましい。ですから、この「隠礼里」も「温泉焼酎」ということになりますね。

そんな、「隠礼里」は、焼酎1:ソーダ3ないし4位の割合で作ると、美味しい球磨ハイボールを作ることができるでしょう。是非、お試しください。

深野酒造オススメの「誉の露」

創業は1823年、「量産より良産を」をモットーに酒造りを続けられている深野酒造さん。今回はそんな深野酒造さんの深野暢子さんにオススメの銘柄を教えて頂きました。

深野暢子さんオススメの「誉の露」

「この「誉の露」は常圧蒸留の球磨焼酎なんですけど、これが炭酸で割ると美味しいと思います。常圧蒸留なので、普通に飲むとコクがあるタイプなんですけど、炭酸で割っても味がそのまま残るので、しっかりとした味わいのハイボールになると思います。やはり、球磨焼酎はウイスキーとかとは違うお酒ですので、この「誉の露」なら焼酎ならではの味も楽しんでいただけるかなと思います」

「昔ながらのカメ仕込みの製法で造っている球磨焼酎ですので、味わいもまろやかですのでソーダ割でも、オススメの球磨焼酎です」

とのこと。

常圧蒸留の深いコクと、カメ仕込みならではのまろやかさを感じるために、焼酎1:ソーダ3の割合でソーダ割を作ると球磨焼酎らしい味わいの球磨ハイボールを作ることができると思います。是非お試しください。

終わりに

いかがでしたでしょうか?

今回とりあげた球磨焼酎は、ややマニアックな部類になってしまう焼酎の種類かもしれません。

とはいえ、取材していく中で、筆者も知らなかった美味しいお酒とたくさん出会うことになりました。今回の記事を読んで、一人でも多くの方が「試してみようかな」と思っていただけたなら筆者としてはうれしい限りです。

是非、「球磨ハイボール」お試しください。

オマケ 特別参加 寿福酒造 杜氏 寿福絹子さん直伝ハイボールの作り方

今回、ちょっとしたご縁があり、「武者返し」などで有名な寿福酒造さんの杜氏である寿福絹子さんにハイボールの作り方を教えていただきました。

「私も昔はハイボールなんて邪道、と思ってたけど、暑い日に飲んだらとても美味しいの。でも、適当に作っちゃダメよ。しっかり作らないと美味しいハイボールはできないわ」

とのことで、そんな寿福絹子さん直伝ハイボールの作り方をお教えしたいと思います。

まずは、冷やしたグラスを準備し、そこに氷をいれる。ただし、冷蔵庫で作る氷ではなく、コンビニなどで買えるカチワリを準備すること。冷蔵庫の氷はとけるのが早く、すぐハイボールが水っぽくなるのだとか。

その後、グラスに入った氷をステア(混ぜ)する。すると、氷がとけて水が生まれるので、しっかりその水を捨てる。

氷が入ったグラスに焼酎を好みの分量入れ、ステアし、ソーダを勢いよく注ぐ。ソーダを勢いよく注ぐことで、焼酎が軽くソーダと混ざるので、軽くステアする。

これが、寿福絹子さん直伝のハイボールです。

ぜひ、お試しください。

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