今回の「酒蔵へ行こう」は青森県弘前市、齋藤酒造さんにお邪魔しました。
弘前城のあります弘前公園から西へ徒歩15分。城下町の伝統ある酒蔵です。
齋藤酒造
齋藤酒造は江戸時代の初期、1603年頃より酒造りをおこなっていたそうです。
当時は酒母を造り、津軽一円の酒造家に販売していたとのことで、現代からはちょっと想像のつかない珍しい販売形式をとっておりました。酒母があれば、あとは水と米を仕込み、絞れば酒になるわけです。
1904年より、日本酒製造に事業転換を図り、「原料にこだわり、手仕事にこだわり、安心して飲める、地域に愛される、飲み飽きない酒」を醸します。
この日は、井上 詩朗 取締役にお話を伺いました。
ご挨拶をして、戦前からの座敷にあがりますと、外からは窺えなかった庭があらわれました。
齋藤酒造は歴史ある酒蔵だけあって、立派なお庭があります。
こちらは江戸時代、津軽藩の2代目藩主、信牧公の治世の折、政治学者の野元道元が造園した庭になり、樹齢300~400年の老松が18本残っています。
齋藤酒造代表銘柄の「松緑」はこの松にちなんで命名されました。
長野特集の時と変わらず、私はいまだに樹の善し悪しがわからないですが、とにかく立派でした。
また、齋藤酒造では近年、観光客向けや、土地のお客さん向けに様々な企画を行っており、近いうちには一般の方の酒蔵見学にも対応出来るように準備していく方針だそうです。
残念ながら2018年現在は酒蔵見学に対応いたしておりませんが、続報を楽しみに待ちたいところです。
「代々伝承される酒造りの技、さらに歴史ある蔵内の道具や設備を大事に手入れし存続させることにより日本酒の文化や歴史を後代に伝えること」を使命とするだけあって、蔵の中には古風な設備がみられます。屋根を見上げると、芸術的な組み方の梁が。
設備は古風ですが酒造りに関しては、毎年新しいチャレンジをしていきたいという思いがあり、近年はにごり酒や、無濾過生の原酒に取り組み、好評をいただいたそうです。
また、代表銘柄のひとつ「六根」は、ダイヤモンド、サファイア、ルビーなど、石にちなんだ名前が付けられていますが、これは宝石の原石を磨くように、大事に大事に米を磨くから、とのこと。
県内米7割、県外米3割のお米の使用率で、沢山の種類のお米をつかっているのですが、お米によってふさわしい酒質があり、より多くのお客様に届けるためには、お酒の幅があることが大事だと考えるため、新しい挑戦を続ける必要があると考えているそうです。
齋藤酒造の酒造り
齋藤酒造のお酒は、「まじめな酒造り」、「純米の造り」、「食中のお酒」を軸にしています。例えば「六根 タイガーアイ」は蔵の独自酵母、香り控えめで旨味が乗った食中酒であり、齋藤酒造を代表するお酒のひとつです。
一方、新しいお客様に届けるため、様々な酒質に挑戦していて、例えば「六根 ルビー」は甘口でキレの良い華やかなお酒になります。「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」で最高金賞を受賞しているように、従来の「六根」とは異なっていながら、「タイガーアイ」と並んで人気のお酒です。
井上取締役「今は、「松緑」が主に土地向けのブランド、「六根」が弘前以外の県内用になっており、これからは、今まで以上に県外でも楽しんでいただけるように努力しております。実際に生産量、取引先ともに増えておりますから、お目にかかることも増えると思います。
「六根」という言葉は、五感に心を加えたものですから、文字通り心を込めたお酒を楽しんでもらいたいです」
私はたまたま、東京にて「六根 タイガーアイ」を頂いたことがあり、大変おいしく感じたことを覚えていましたが、確かに常に見かけるお酒というわけではありませんでした。
ありがたいことに来年以降、流通量が増えるとのことで今から楽しみです。
齋藤酒造の観光への取り組み
ところで、井上取締役の後ろにちらりと映り込んでいるものが、ずっと気になっていたのですが、これはいったい何でしょう。
人力車ですね。
なんとこちら、弘前の観光を盛り上げていこうということで、2018年8月17日より、人力車の運用を始めたとのことです。10月後半から酒づくりが始まりますし、寒くなりますから一旦終了し、4月から再開する予定です。
弘前は城下町だけあって古い建物がたくさん残っていますし、人力車が風景にマッチします。
とはいえ、なぜあえて人力車なのでしょう?伺いますと、
そもそも、弘前の他の酒蔵さんとも、「県内観光を盛り上げていきたいね」とよくお話しをされるそうですが、最近は海外からの旅行者が増えていることと、齋藤酒造として、今まで以上に地域とのつながりを強くしていきたい、と考えた結果だそうです。
これまで、弘前公園の中をまわる市営の人力車はあったのですが、齋藤酒造の運営する新しい人力車は、弘前公園の外を回るコース設定をしていますので、より弘前の風景を楽しめるように設計されています。
観光の際はご利用なさってみてはいかがでしょうか。
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株式会社 齋藤酒造
https://matsumidori-saito.com/
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