日本酒の好みの味、皆様も「こういう味が好き」という好きな味を一つは持っているのではないでしょうか?

今回は、そんな好みの基準ともいえる味を、数値化した日本酒度・酸度・アミノ酸度について解説出来たらと思います。

 

日本酒度

よくいわれる、甘口・辛口を表す基準がこの日本酒度ということになります。

日本酒度は「+」が辛口、「-」が甘口を表します。

では、日本酒度とは何か?と、いわれると、日本酒度は日本酒の中に含まれている糖分を表しているのです。

すこしややこしいですが、「-」は糖分が多く含まれていて甘口。「+」は糖分が少なく辛口ということになります。

日本酒の中に含まれている糖分を表しているものが日本酒度ですから、「-」が高いものは甘く、「+」が高いものは辛いというのは、確実なことだと言えます。

ですが、例えば、日本酒度+7のお酒を飲んで、「これ辛口なのかな?」と思ったことはありませんか?人の味覚は、そう単純なものではないのです。

 

実は、一般的に「辛口が好き」と言っている人は、日本酒度によって判断している人たちとは別に、2種類の「辛口好き」がいると筆者は考えています。

今回は、日本酒度だけでなく、アミノ酸度と酸度も合わせて日本酒の「甘口・辛口」について考えられたらと思っています。

 

アミノ酸度

 

アミノ酸度というのは、簡単に言ってしまえば旨味成分のアミノ酸が、お酒の中に含まれている量を数値化したものを指しています。

ちなみに、日本酒に含まれているアミノ酸の種類は、アルギニン、ロイシン、グルタミン酸などを主とした20種類ほどで、アミノ酸度が高ければ高いほどコクがあり、旨味の強い酒とされています。アミノ酸度が低ければ、旨味の少ないあっさりとした酒、いわゆる淡麗なお酒ということになります。

 

一概には言えませんが、このアミノ酸度が高く、日本酒度が高いと芳醇辛口等と呼ばれます。日本酒度が高く、アミノ酸度も高い。つまり、糖分が低くなっているのですが、旨味成分が多くなっているのです。これを飲んだ場合、「辛口?」と首を捻る方も多いと思います。

 

では、日本酒度が高く、アミノ酸度が低い酒はどうなるのか?これが、先程、説明した「辛口が好き」と言っている人の好むタイプの一つ、「淡麗辛口派」です。アミノ酸度が低いわけですから味わいは淡くなり、糖分も少ないので甘みも少ない。ゆえに、水みたいなお酒等と呼ばれることもあります。

実際、過去の日本酒ブームの時は、「淡麗辛口」ブームでした。ですから、未だに「辛口」といえば、「淡麗辛口」という方も多いでしょう。

 

酸度

日本酒を造る際の酵母の働きによって、数種類の有機酸が生成されます。この時生成される酸は、コハク酸、リンゴ酸、乳酸が全体の酸の八割を占め、ほかにも、クエン酸や、ピルビン酸、酢酸などが生成されます。

一般的には、この酸度が多ければ多いほど、辛く感じ、少なければ少ないほど、甘く感じるとされています。

この酸度に関しては、様々な解釈がありますが、筆者としては酸度が高い酒はキレがいい酒が多いと考えています。とはいえ、高すぎると酸い酒になりますが。

さて、これが二つ目の「辛口」好きのタイプに関係します。つまり、「辛口」=「キレ」がいい酒と思っているタイプです。

このタイプが現在、最も流行っているお酒のタイプといっていいでしょう。甘酸っぱく、キレがいい。

もちろん、「なんとなく酒と言えば辛口」と思っている人も多いとは思うのですが。

 

正直に言えば、現在流行しているタイプの酒に辛口と呼べるお酒は含まれていません。簡単に言ってしまえば、「キレのいい甘口」が現在のブームです。

それでも、「辛口が好き」という言葉をよく耳にするのは、「キレ」を「辛い」と感じるからではないかと筆者は考えています。

酒屋さんなどに話を聞くと、この「キレ」を「辛口」と呼ぶお客様のお話などを耳にします。そうしますと、余りいいマッチングが出来ないそうです。どういうお酒が好きなのか、具体的に(銘柄など)説明できるようになっておくといいでしょう。

実際には、辛さや甘さや酸味だけでなく、香り等も関係します。お酒の味は複合的なものですから。

「辛口好き」、一体どんな辛口が好きなのか。辛口の酒という世界も奥が深いです。

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